ライオンパワー株式会社

納入事例:必要とされる技術・製品を世の中へ。いただいた感謝のお気持ちは、次のお客様へのパワーに。

医療関連機器事例
「遠心塗抹装置の継続」:シスメックス株式会社 様

ニーズがあると分かっているのに、販売の継続が難しくなっていった遠心法採用の血液塗抹標本作製装置…。困り果てていたシスメックス様からのご相談から、ライオンパワーの遠心塗抹装置「とまつくん」は生まれました。
シスメックス様だけでなく、ユーザー様にも喜ばれている「とまつくん」は、弊社の医療業界進出への重要なヒントと自信をもたらしてくれました。

シスメックス株式会社 様

  • 梅本 昂志
    国内事業推進部
    プロダクトマーケティンググループ

シスメックス様は、検体検査に必要な機器・試薬・ソフトウェアの研究開発から製造、販売・サービス&サポートを一貫して行う総合メーカーとして、人々の健康を支えていらっしゃいます。
従来取り組まれてきたヘマトロジー(血球計数検査)の分野から、免疫、凝固などのノンヘマトロジー分野に加え、ライフサイエンス領域へと事業を拡大。独自のテクノロジーを用いて、新たな検査・診断技術の創出に取り組み、一人ひとりに最適な医療の実現を目指していらっしゃいます。

遠心塗抹装置「とまつくん」

病院や検査機関などで使用する血液塗抹標本を遠心法で作成する装置です。
特別な技術を必要とせず、少量の血液を滴下するだけで簡単に・美しい均一な塗抹標本を作製することができます。


遠心塗抹装置のニーズと生産終了

シスメックス株式会社 梅本様(以下、梅本様):
以前弊社で取り扱っていた遠心塗抹装置は、もともと自社開発品ではありませんでした。別の会社様で生産販売されていたのですが、事業を譲渡頂き、弊社で生産、販売、サービスを行っておりました。
問題は、発売から時間が経つにつれ部品や材料の調達が困難になっていたことです。全自動タイプが主流になり、遠心法装置の販売台数も少なくなっていましたので、新機種開発というのも難しく、ニーズはあるのに継続販売ができなくなるということで困っていたんです。
ライオンパワー:
他社でも遠心塗抹装置があったと思いますが少なくなってきた理由は?
梅本様:
市場全体で遠心法装置の需要が少なくなったことが理由でしょうね。標本を多く作成されるご施設は弊社製品のSPシリーズのようなウェッジ法採用の全自動タイプ装置をご採用頂くのが主流になっています。また、塗抹作製も大多数がウェッジ法で実施されています。
ライオンパワー:
しかし、遠心塗抹装置のニーズはまだ残っていますよね。
梅本様:
一部の検体は、ウェッジ法では細胞が壊れてしまうことがあるそうです。
また、全自動タイプの装置とは別に、緊急で標本作成をしたい場合や、手作業の効率化や均一化といったご要望に対し、遠心塗抹装置が必要になるわけです。

困ったときのライオンパワー

梅本様:
お客様からのニーズは残っていたものの、自社としては遠心法装置の新機種開発を行わない方針だったため、営業部門は正直困り果てていました。そんな中、弊社開発部門から、以前よりお取引のあったライオンパワーさんの紹介を受けたのです。
採血管移載装置「いれかえくん」採血管移載装置「いれかえくん」
ライオンパワー:
弊社では採血管を搬送する分野で御社からの開発品を受託で行っておりましたので、『医療機器を開発する』という点では、少なからず知識や技術が備わっていたかと思います。
梅本様:
これまでの御社とのお取引の実績や技術力は大きなポイントでしたね。
ライオンパワー:
ただ、これまで採血管の搬送などは行っていましたが、実際に血液を使用する装置となると初めてだったのでいろいろと乗り越えなければならない問題もありました。
特に装置の評価については、自社で血液を扱えないことに加え塗抹状態が良好であるかを判断する能力もありませんでした。御社のお力添えを頂き、実際に検査施設にて装置を使用頂きながら改善を進めていきました。

トラブル発生で明確になった開発・改善方針

ライオンパワー:
そう言えば、開発期間中にある血液検査室へ装置の評価を依頼した時、塗抹中に血液が漏れ出てきたことがありました。感染リスクの点からも非常に問題であったため、すぐに検討を中止して頂きました。検査室様やシスメックス様に多大なご迷惑をお掛けしたことを思い出します…。
この件で弊社での開発に時間がかかり、御社での製品販売終了から弊社とまつくん発売開始までかなりタイムラグができてしまいましたが。
梅本様:
タイムラグについては当時、営業部門は皆困っていましたね。
実は当時私も営業をしていまして、担当している施設様から遠心法の装置に対して「この装置なくなるの?」「後継品はないの?」と御引き合いがあってもそれに応えられない。サポートも終了しておりましたので、「御取扱いできなくなりました」とただただ頭を下げることしか出来ませんでした。
営業はお客様の課題解決に向けたご提案がMissionですので、対応出来ないのは苦しかったですね。
ライオンパワー:
塗抹中の血液が漏れ出たことに対する対策としては、塗抹エリアを全て覆うということを行いました。これにより当初のデザインと蓋がガラッと変わりましたね。
また、検査終了後の片付けがしにくいとご指摘頂いたこともあり、血液が散乱する部分を大幅に改良しました。改良後お持ちした時には、お客様より「安全な装置になったね。販売開始したときは教えてください。」と言っていただいたのが非常に印象的でやり遂げた感がありました。

「とまつくん」でライオンパワーが実現したもの

梅本様:
お客様からの要望に対して御社の技術力をお借りして乗り越えられたことは大きいと思いますね。同じ製品のままでは、これまでと全く同じクレームやご指摘が出るに決まっています。それでは面白くないですから、新しいものをご提案するのであれば、旧機種よりも改善されたことをPRしたいです。
私達も、ライオンパワーさんに製品を完成させて頂けて非常にありがたかったです。遠心法装置をご使用頂いていたお客様へもご紹介できるようになり、正直ホッとしました。
ライオンパワーの最新医療機器
採血管自動仕分け装置
例えばそこで「お取扱ができません」と頭を下げてしまうと、課題が目に見えているのに解決できなくなってしまいます。それでは営業として、お客様の課題解決をさせて頂くパートナーにはなれないですよね。「シスメックスは細やかなニーズにも対応できるね」と言っていただけることが何よりありがたいのです。
ライオンパワー:
塗抹状態が以前の装置と遜色なく良好であることはもちろんのこと、安全に使用できるようになったことが一番喜ばれております。
以前の装置にはなかった、次亜塩素酸ナトリウムを使用した洗浄が出来ることや、塗抹エリアを十分に覆い血液漏れの心配がなくなったこと、洗浄する部分に蓋をした状態で持ち運べるようになったこと等、お客様の安全を第一に考えた装置であることが喜ばれております。
なにしろこれにより血液からの感染リスクはかなり減りました。

その他「医療関連機器事業」の主な連携先

かずさDNA研究所 様/金沢医科大学 様/金沢工業大学 様/金沢大学 様/京都電子工業株式会社 様/島津エス・ディー株式会社 様

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